パナソニック電送社友会

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No.272


南米紀行(4)

2020年5月
植木 圭二

  地球のほぼ裏側にあたる南米大陸に妻と海外パックツアーで行ってきました。本年2月下旬、南米で新型コロナウイルス感染がまだ広まる前です。南米の有名観光地数カ所を訪れましたが、今回の寄稿はイグアスの滝です。

■イグアスの滝
 イグアスの滝の構造を簡単に説明しますと、アルゼンチンとブラジルの国境を流れるイグアス川の川床に段差ができてそこが滝になっています。段差を上からみると左右で長さの違うV字型をしており、大小275本の滝からなる滝の集合体で、横の長さ全部で約4kmもあります。

 その最深部が「悪魔の喉笛」と呼ばれる滝で、そこから両側に滝が広がっていて長い方がアルゼンチンで短い方がブラジルなので、滝全体の8割はアルゼンチン側にあります。

 北米にあるナイアガラの滝の幅はアメリカ滝260mとカナダ滝670m合わせても1km程ですので、かつて元アメリカ大統領夫人がイグアスの滝を見て「かわいそうな私のナイアガラ」と言ったそうです。


 【上空から私が撮ったイグアスの滝全景】

■アルゼンチンの国立公園
 イグアスの滝はアルゼンチンもブラジルも別々に世界自然遺産に登録されており、どちらの国も国立公園になっています。私たちはアルゼンチンの国立公園に入り、広々とした緑が生い茂る公園からトロッコ列車に乗り変えて滝を目指します。

 トロッコ列車を降り遊歩道を歩きますが、遊歩道は大部分が橋になっており滝の上の浅瀬の部分を上から見ながらの散歩になります。


 【アルゼンチンの公園内】


【アルゼンチン国立公園内 トロッコ列車】

■悪魔の喉笛
 遊歩道を歩き、悪魔の喉笛に向かいます。歩くこと約30分、その悪魔の喉笛の水しぶきが見えてきます。
悪魔の喉笛はイグアスの滝の中でも最大で、高さ82m、幅150mのU字型をしており、U字の部分の長さは700mもあります。

 悪魔の喉笛のすぐ上にある展望台に到着すると、滝壺に落ちる水量豊かな水がしぶきになって風に乗って襲ってきます。すぐに服もカメラも水しぶきで大変です。


【アルゼンチン側遊歩道 悪魔の喉笛の水しぶき】

【水しぶきの中 悪魔の喉笛を背景に】

【アルゼンチン側展望台から悪魔の喉笛】

■ブラジル滝
 アルゼンチン側の遊歩道は滝の上の部分にあり、ブラジル側の遊歩道は滝の下の部分に作られているのでブラジル側は滝を下から臨むため迫力を感じます。私は個人的にはブラジル側からの滝見がお勧めです。

 遊歩道をイグアスの滝の奥に向かって歩いているので徐々に悪魔の喉笛が近づいており、まだ結構距離があるのに水しぶきから生じるミストが涼しさをもたらしてくれます。夏の暑さと日差しにあってありがたいミストです。


【ブラジルの展望台からブラジル滝】

【ブラジルの展望台から悪魔の喉笛】

■ボートツアー
 滝壺をボートに乗って体験するボートツアーに乗ります。
ボート乗り場までの送迎は専用の黄色い派手なトラックで、オープントップの荷台には30人分の椅子が据え付けられています。

 ボートに乗り込み、滝の真下に入っていきます。さすがに悪魔の喉笛は危険なので、水量の比較的少ない滝になりますが、それでも凄い水しぶきです。水しぶきというよりもバケツをひっくり返したような水が上から容赦なく降り注いできます。
「ウオッー!」という悲鳴とも歓声ともいう大きい声が方々からあがります。
バケツをひっくり返したのは1回や2回ではなく、足元を見ると船の床は川のように水が流れています。

 私もこれまでいろいろな水しぶきがかかるアトラクションを体験してきましたが、それらは子供だましだとわかりました。これこそが本物です。
帰路、トラックに乗ると夏の日差しとオープントップの荷台に吹く風で濡れた水着もTシャツもほぼ乾いてしまいました。

【ボートより アルゼンチン側の滝壺手前】

【ボートより 滝の中

■ヘリコプター遊覧
 ヘリコプターで上空からイグアスの滝を見ます。実は私にとってヘリコプターに乗ることは人生初体験です。
ヘリは離陸して5分程で滝の上空に到達し、悠々と流れる水量豊富なイグアス川に白い水しぶきをあげているイグアスの滝が見えてきます。

 一番奥が悪魔の喉笛でその右がアルゼンチンの滝、左がブラジルの滝。滝の全景はこんな形だったのかと興奮しながら覗き込み、私たちが乗った滝に突っ込むボートも見えます。

 悪魔の喉笛の水しぶきの部分だけに虹がかかっています。水しぶきをあびたアルゼンチン側の展望台も見えます。上空から見る悪魔の喉笛の滝壺は荒れ狂う水で底知れぬ恐ろしさを感じ、まさしく悪魔の喉笛だと。この名前を付けた人に敬意を表したい気持ちになります。


【搭乗した8人乗りヘリコプター】

【上空から見た悪魔の喉笛】
■3国国境
 イグアス川はアルゼンチンとブラジルの国境線になっており、そのイグアス川がパラナ川とT字型で合流する点に案内されてきました。パラナ川の対岸はパラグアイなので合流地点は3国の国境になり、3国の陸地を一望できる珍しい場所です。

 水量豊かなイグアス川でさえパラナ川の支流で、そのパラマ川は最終的にはラプラタ川になり大西洋にそそぎます。その河口幅は270kmというから、東京から名古屋まで行ってしまう程の距離です。この他に南米大陸にはあのアマゾン川もあり、この大陸のスケールには驚くばかりです。

【3国国境 手前アルゼンチン、右ブラジル、左パラグアイ】
■ディナーショー
 ブラジル最後の夜はディナーショーです。
食事はブラジルでは定番の肉料理主体のブュッフェスタイルです。かなり多くの種類の肉が調理されており部位毎に専任の料理人が包丁で取り分けてくれます。

 そしてショーは南米各国の有名なダンスや歌が各国持ち回りで披露されます。アルゼンチンタンゴも堪能し、取りを飾るのはやはりブラジルのサンバです。サンバは打楽器しか使わないという珍しい音楽なので独特のリズムと躍動感が真骨頂で迫力満点で、南米の夜にふさわしいステージになりました。

【ディナーショーの観客】
 今回はイグアスの滝で南米紀行の寄稿は終了です。

尚、この詳細は「旅のチカラ研究所」のホームページの中で旅行記「南米の旅2020」として公開しています。是非ご覧ください。

   南米紀行(1)はこちら  南米紀行(2)はこちら  南米紀行(3)はこちら

 
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