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2005年9月 久貝 達也 |
「通信革命」それまで永く定着していた通信手段を、根本的に変革した、ということです。
この画期的な変換点に貢献したファクスが、昭和20年代から約10年間、わが社の経営の主力商品となっていた、
テープ式文字電送機です。時代の流れで当時を知る人も少なくなり、その存在すら忘れられかけていますが、
会社の歴史を語るには不可欠の商品ですので、それについて述べてみたいと思います。
かって、報道関係の通信手段は、有線回線では速記、無線ではモールス信号によるものでした。
この両方に共通して障害となっていたのは、漢字交じり文への翻訳作業が必要なことです。
ワープロでも経験するように、日本語には同音異語の厄介さがつきまとっています。
このわずらわしい問題を解決して、正確、迅速な情報伝達を行うために、ファクスの研究に取り組まれていましたが、
戦後間もない頃までは、実用機といえる商品には至っておりませんでした。
昭和21年、共同通信社のご方針、ご要請で実用ファクスの早期開発を、東方電機の前身のひとつ、
大同電業社に発注を頂き開発に着手したのです。開発技術の統括は衣川さん、機構設計は大同社員が担当していました。
その頃、共同通信社員だった私も、出向命令で開発グループに加わりました。
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ここで、テープ式文字電送機の要点を説明しておきます。
・送信機は9ミリ幅のテープに縦一列に原稿を書いて、ある速度で繰り出します。
文字の分解走査はは繰り出しに対して直角方向に光点が移動する平面走査方式です。
・受信機は、螺旋加工の回転体(へリックス)に、印字信号によって動作するバーとの接点で、
文字が組み立てられるのです。
2行印字方式ですが、同期との関係があり、あとで触れます。
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・同期の方法、ファクスでは送信受信間の同期は必要条件で、日本国内でも電源周波数の異なる地域間の
通信は簡単ではありません。
でも本機には、ここにも工夫がありました。簡単な同期方式で、つまり原動モーターの速度を制御する
ガバナー機構が組み込まれていて、実用可能な安定度を保っていました。
若干の同期流れがあっても、記録は必ず一行は読めるように2行印字が考えられていたのです。
・主要な部品は手作り、画信号の増幅部に欠かせないのが低周波トランスです。
当時はカタログ商品があるわけでもなく、設計、巻線、仕上げ、総てが手作りで、勿論電源トランスも同様でした。
技術開発は、いつの時代でも大変なことですが、完成後語るのは簡単なこと、ともかく悪条件を昼夜兼行で克服した結果、
昭和23年3月試作機が完成しました。
そして、報道関係へのお披露目です。
当時の毎日新聞はこれを「通信最大の障害である漢字送信を克服する通信革命である」と報道されたのです。
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