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No.278



密を避けた神奈川県の旅

2020年9月
植木 圭二

 新型コロナウイルス感染症対策のために密を避けた旅になるように神奈川県でも比較的空いている穴場の名所を旅行してきました。具体的には横須賀、小田原とその近郊、そして足柄で、それらの魅力を紹介します。

■軍港の街、横須賀
 横須賀市中心部の東京湾に面した「三笠公園」には本物の戦艦「三笠」が威風堂々と係留展示されています。
 この船は1902(明治35)年に竣工し日本海海戦で歴史的勝利をした日本海軍の旗艦でした。その手前には「東郷平八郎の像」があるので日露戦争の英雄とのツーショットを撮ることができます。もちろんこの三笠の艦内は内覧可能です。

【戦艦三笠と東郷平八郎の像】
■横須賀市の無人島「猿島」
 三笠公園の隣から渡船が出ていて、東京湾に浮かぶただ一つの自然島で無人島の「猿島」に渡ることができます。猿島は東京湾の入口の一番狭い場所に位置しているので昔から首都防衛の拠点になっており、島全体が要塞化された跡が残っています。
 要塞の孤島ということから映画やテレビドラマの撮影が多く行われて、「仮面ライダー」では悪党軍団ショッカーの基地があるとされました。
 苔やレンガという独特の雰囲気が漂う島内ですが、桟橋近くではビーチを臨むウッドデッキにお洒落な建物があってテーブルが置かれパラソルも開いていますから、多くの若い女性も訪れます。

【要塞跡の島内の道路】

【要塞内部のトンネル】


【猿島の桟橋近くのお洒落な建物とウッドデッキ】

■大磯は近代史の街
  温暖な湘南地区にある大磯町は近代史の街で、多くの文豪や政治家が住んでいた建物などが多数あります。
 神奈川県立城山公園の中に「旧吉田茂邸」があり、見事な日本庭園の中に木造の大きな邸宅が建っています。敷地内の高台に吉田茂の銅像が立っていてサンフランシスコの方角を向いていると言われています。彼はサンフランシスコ講和条約に調印した総理大臣だったからです。

【旧吉田茂邸】

■豊臣秀吉が残した城跡
  小田原市街地を見下ろす山の上に「石垣山の一夜城跡」があります。この城は豊臣秀吉が築城した城で、現在も井戸曲輪や石垣が残っています。
  小田原城は戦国時代最強・最大の城と言われ、外郭は 9kmもあり北条軍6万人が籠城していました。しかし秀吉軍はそれを遥かに上回る22万人で包囲し、小田原城を見下ろす山に約80日間でこの城を築き、一晩で周囲の樹木を伐採して一夜にして城が現れたので北条軍は戦意を喪失したという逸話が残っています。

【石垣山一夜城跡から相模湾と小田原市内を臨む】

■源頼朝の足跡を訪ねて
  打倒平家を掲げて源頼朝が挙兵し、最初の合戦前夜に盛大に護摩を焚き先勝祈願した神社が湯河原町にある「五所神社」です。その頃に植えられた樹齢 850 年の楠木が今も境内にありパワースポットになっています。
 その古戦場が小田原市の根府川にあり、古戦場跡には討ち死にした頼朝方の勇猛な武将の佐奈田与一を弔った「佐奈田霊社」があります。実はこの霊社と呼ばれる施設は大変珍しいもので私が知る限り日本で唯一、神仏分離令から逃れて神社と寺が一体になったままの施設です。
 頼朝の初戦は残念ながら惨敗し、山中を敗走の末に真鶴の漁港の前にある鵐窟(しとどのいわや)という洞窟に隠れ、船で房総半島の安房の国に渡りました。その「頼朝船出の浜」も近くの岩海水浴場にあります。その後は首尾よく鎌倉幕府を創設したので、敗走し危機を乗り切った真鶴や湯河原一帯は頼朝開運街道とも呼ばれています。  

【神仏一体の佐奈田霊社】


【頼朝が隠れた鵐窟(しとどのいわや)】

■金太郎伝説
  足柄と言えば金太郎です。金太郎は平安時代の武士「坂田金時」の幼名で、足柄山に住み、獣を友として育った怪力の持ち主と言われています。
 静岡県との県境近く南足柄市に「金太郎の遊び石」と呼ばれる巨石がありますが、いくら怪力といえども持ち上げることも転がすことも不可能な大きさです。近くには金太郎の生家跡、そして産湯を浸かったという見事な「夕日の滝」もあり、昔話の主人公をとても身近に感じることができます。

【金太郎の遊び石】

■大雄山最乗寺
  小田原駅から出ている大雄山線の終点の大雄山駅の先にある南足柄市「大雄山最乗寺」は驚くほどに大きな寺で、東京ドーム127個分もあります。天狗伝説もあるので大小さまざまな下駄が奉納されています。

【大雄山最乗寺の境内 奉納された大小の下駄】

■山北町の滝
  神奈川県西北部の山北町の南部に日本の滝百選の「洒水(しゃすい)の滝」があります。私が見る限りでは一段の滝にしか見えませんでしたが、滝は三段になっており一の滝は 69m、二の滝は 16m、三の滝は 29m というから合わせると 114m になる相当の落差の滝です。

【高さ114mになる洒水の滝】

■お勧めの宿@「ログハウスの宿」
  今回、実際に私が泊まった宿で特にお勧めの宿を紹介します。もちろんあまり知られていない穴場の宿です。
 小田原市根府川にあるログハウスの宿で、正式名称は「離れの宿 星ケ山」です。山の斜面のミカン畑の中に宿泊用の 9 棟のログハウスと受付やレストランのある管理棟があります。
 重厚な宿泊ログハウスにはリビング、キッチン、寝室、屋根付きのウッドデッキもあり、少人数で泊まるにはちょうど良い広さです。全てが独立した棟なので他の宿泊客とは充分な距離が保てます。
 管理棟に併設された風呂もログハウス風で、しかも温泉です。3つの個性的な風呂に入りましたが、どれも半露天でお洒落な造りをしています。
 ミニカーのコレクションを展示しているログハウスがあり、その隣に 20m くらいの線路が敷いてあって小さなトロッコ列車が置かれています。実はこの列車は「豆相人車鉄道」の復元車両で、明治時代に小田原〜熱海間を走っていた人車鉄道で人が押して運行していたという世界的にも珍しい鉄道です。関東大震災によって軌道が寸断されて廃線になりましたが、この宿の近くを通っていたのでここで復元されたそうです。
 ログハウスも風呂も鉄道も、さらに料理もオーナーのこだわりが随所にあって間違いなくお勧めの宿です。

泊まった宿泊用ログハウス】


【大きな石をくり抜いた浴槽】


【トロッコ列車と軌道 ミニカーコレクションのログハウス】

■お勧めの宿A「森林の中の宿、おんりーゆー」
  もう一軒穴場の宿を紹介します。こちらの少し変わった名前の「おんりーゆー」は私が極最近泊まってきたばかりの宿です。南足柄市の大雄山最乗寺の近くにある比較的新しい日帰り入浴主体の施設ですが、宿泊もできます。
 特徴は何と言っても立地環境で、森林の中にたたずむ建物は自然と同化しています。中庭の林の中に浮島のようなハンモックのスペースがあり、それを囲むように回廊があって一部がせり出して広いウッドデッキになって素晴らしい空間を演出しています。
 大浴場には内湯と露天風呂があり、特に露天風呂は圧巻です。露天風呂は高い木々の中にあって森林の中で入浴している気分にさせてくれます。単に開放的な露天風呂は他でもよく見かけますが、これだけ森林の中に居ることを感じさせてくれる露天風呂は滅多にありません。温度の異なる二つの大きな湯船があり、ぬるい湯に浸かっていればいくらでも長湯ができます。この施設がお客に何を提供しようとしているのかが良く理解できます。
 宿泊用の部屋は全部で 5 部屋しかありません。私が泊まった部屋は 16 畳の和室で、庭とウッドデッキがあってそこには小さなバスタブの露天風呂もあります。
 この宿も本当にお勧めです。

【森林の中のウッドデッキ 真ん中にハンモックそれを囲むように回廊がある】


【森の中の露天風呂 温度の違う2つの湯船、右は内湯】


【宿泊した部屋から見た庭とウッドデッキと露天風呂】

 今回紹介した名所や宿は、最近私が3回に分けて行った旅行のエキスを集めたものです。実際の個々の旅行については「旅のチカラ研究所」のホームページの中で旅行記として公開しており、「神奈川七島巡り2020」、「小田原及び近郊の旅2020」、「足柄の旅2020」の3作ですので、是非ご覧ください。
 
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