会員便り

ブルガリア紀行

2019年11月
植木 圭二

    東ヨーロッパの中でも東の端、ブルガリアに行ってきました。ブルガリアといえば思い浮かぶのはヨーグルトくらいですが、名前は知っているけれど行ったことがあるという人は少ない国です。観光開発されていない国なので中世ヨーロッパを肌で感じる充実した旅になりました。
 
 

■アレキサンドル・ネフスキー教会
 最初はブルガリア首都ソフィアを訪れました。
この教会はブルガリア正教の教会で、ヨーロッパの東の地域はギリシャ正教やロシア正教のように各国毎に教会組織があり、西ヨーロッパではカトリック教会としてバチカンに権威が一本化しているのに対して対照的な姿になっています。

 教義は同じでしょうが、私のような観光客にとってカトリックの教会との違いといえば十字架が縦長ではなく真四角に近く、教会内には椅子が置いていないことくらいです。この教会も椅子がないために教会内は広く感じ、バルカン半島最大ということで1500人も収容できます。

 
  ■首都ソフィアの市民庭園
 ソフィアの中心地の市民庭園では人々はのんびりと秋の紅葉を楽しんでいます。

 噴水の向こうに国立劇場が見えます。旧共産党本部や大統領官邸などがこの地域にまとまってあり、旧市街地の名所は歩いて観ることができます。
 



 

■ローマ時代の最も古い教会
 ブルガリアの歴史は古く複雑で、様々な遺跡や建物があります。
 ローマ時代の遺跡の向こうに丸い円柱状の「ゲオルギ教会」があります。

 4世紀にできたというソフィアに現存する最古の建物で、ローマ時代のものです。このような形状が教会の初期のスタイルということで、この円柱状の教会は世界中ほとんど残っていません。

 
 

■マーケット
 街のあちこちには八百屋があって、新鮮な果物や野菜が大量に店頭に並んでいます。どれも量り売りになっていて価格は日本の1/10程度でしょうか。

 2階建てのホールのような大きなマーケットはシンプルで奇麗になっています。あまり人がいないのは地元の人々よりも観光客相手なのか、あるいは昔の社会主義政権時代の名残かもしれません。

 
  ■リラの僧院
 ソフィアの近くのリラの僧院はブルガリア正教の総本山で、白と黒のゼブラ模様が特徴的でブルガリアを紹介するパンフレットには必ずこの建物が出てきます。

 大聖堂の最大の特徴は建物の内外に描かれているフレスコ画と呼ばれている宗教画で、これが本当に素晴らしいものです。大聖堂の中のフレスコ画は量も質も実に見事ですが、残念ながら内部の撮影が禁止されており写真は撮れないので、是非現物を見に行くことをお勧めします。
 

  ■ボヤナ教会
 ソフィアの近くのボヤナ教会のフレスコ画も大変素晴らしいものです。何故かというとそれまでの宗教画では人物の表情や動きは全く表現されておらず、そのような変化はルネッサンスで始まったというのが通説でしたが、ここのフレスコ画はルネッサンスが始まる半世紀前に描かれたということです。とにかく壁や天井いっぱいにフレスコ画が描かれており、残念ながらここも写真撮影が禁止されています。

 この教会は11世紀に造られて13世紀と19世紀に増築されたので全部で3つの部分からなっており、増築の時に古い壁画の上に壁を上塗りして同じ画を描いています。所どころ上塗りした部分がはがれ落ちていて古い画が露出しているのがとても良い味わいを出しています。
 
 

■3つの丘の街
ブルガリアのほぼ中央のトラキア平原にブルガリア第二の都市プロブディフがあります。この街は紀元前にローマ人がここに来た時に3つの丘の街と名付けたというくらい丘が特徴的な街です。

 その丘の上に登ると街が一望でき、この眺望もまた素晴らしいもので古代ローマ人になったような気分になります。丘の上はローマ時代の遺跡がそのまま残っています。

 
  ■ローマ時代の劇場
 プロブディフの住宅地を歩いていると半円形のローマ時代の劇場跡が突如として現れます。現在も野外劇やコンサートなどが催されているというので正確には「跡」ではありません。2000年前の施設を今も使っていることに感動が湧いてきます。
 
 

■古都の要塞
 ブルガリア北部の古都ヴェリコ・タルノヴォは小さな街ですが、かつてはブルガリアの首都でした。

 朝、城壁の見える丘に立つとその景色があまりに感動的です。要塞が朝日をあびて輝いており、反対側には旧市街の街並みが見え360度のパノラマがとても素晴らしいです。わざわざヨーロッパの東の端の国にやって来た甲斐がありました。

 
 

■岩窟教会
 イワノボにある岩窟教会は1979年に世界遺産登録されたものです。全世界で世界遺産の最初の登録が1978年なので、2年目に登録されました。

 岩窟教教会ということなので、急な斜面に簡単な階段が造られ100m程登ると岩山の中腹の岩壁をくり抜いて作られた教会があります。教会の天井や壁には多くのフレスコ画が描かれています。写真撮影は禁止されておらず開放的なことはありがたいのですが、保存のことを考えるとかえって心配してしまいます。

 この他にも多くの教会を観ましたが、ブルガリアの教会はフレスコ画が非常にたくさんあるのが特徴的でした。

   
 

 これらの詳細な旅行記は旅のチカラ研究所のHPに公開しています。是非ご覧ください。

   
 
 

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