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秋も深まる10月中旬、バルト3国とポーランドに妻と行ってきました。紅葉真っ盛りのこの時期に、この地方の歴史文化に触れる旅は思った以上に感動を得ることができました。アクシデント含め面白い旅になったので報告します。
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■リトアニア |
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リトアニアの首都ビリニュスに着いたのは成田空港を出発して14時間後。
ホテルはシンプルで小奇麗ながら部屋には何も無く、ヒーターはあるものの日本のホテルでは当たり前のエアコン、冷蔵庫、金庫、ロッカーが見当たらない。そう、ここは旧ソ連の国なのです。バルト3国は1991年までソ連に属していたので、その影響が今も残っています。
翌朝、目を覚まし部屋の窓から外を見ると紅葉真っ盛りになっています。
聖アンナ教会という15世紀に建てられたゴシック様式の教会を見る。ロシア遠征のナポレオンがこの地に来た時にこの教会を見て、フランスに持ち帰りたいといったほどに美しいという逸話が残っています。
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街は落ちついているように感じます。その落ち着きの原因はというと街歩きをする人の数やそのしぐさかもしれませんが、街の中の看板が極めて少ないことでしょう。華美な看板やネオンなどはもちろんない。そんな素朴な光景が落ち着きを感じさせてくれます。
この街にも大聖堂と鐘楼があり、そしてその前には大きな広場が広がるというヨーロッパのどの街に行っても見ることができる光景があります。
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ビリニュスから約30kmのところにトラカイという街があり、多くの湖があり湖の中に飛び出た半島のような部分の先の小さな島の上に古城が立っています。
その湖と古城との組み合わせが非常に美しい。湖の青と空の青、古城のレンガ色の対比が素晴らしい。それに加えて紅葉の黄色がものの見事にはまっているからさらに素晴らしい。
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あまり観光客がいないのも良い感じで景色を堪能することができます。今まで見てきた限りではリトアニアはまだ観光地としてあまり確立されていない部分が多い。だからこんなに素晴らしい場所でも観光客は多くない。そのために手付かずのヨーロッパを感じることができます。
最近はどこの観光地に行っても中国人がたくさんいますが、ここでは見かけません。理由は良く分かりませんが、ここが旧ソビエト連邦ということが影響しているのかもしれません。
カウナスというリトアニア第2の都市は大聖堂と旧市街の街ですが、この街は第二次世界大戦前後の22年間はポーランドに占領されていた首都ビリニュスに代わって代理首都でした。この代理首都で「日本のシンドラー」呼ばれる杉原千畝(ちうね)の行為はあまりにも有名です。
第二次大戦時にポーランドからリトアニアに流れてきたユダヤ人に対してビザを発給するという行為をしたのが杉原千畝で、当時ユダヤ人はナチスドイツの迫害から逃れるためにシベリア鉄道から日本を経由して太平洋を渡ってアメリカ大陸を目指すことが数少ない救いの道になっていました。そのためには日本政府の発行する通過ビザがないとこのルートでの脱出ができないことになります。
そのかつての日本領事館の建物は現在も残っており、杉原記念館として開放されているので見学コースにもなっている。住宅街の中にある普通の2階建て民家のような建物です。
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リトアニア観光の最後に「十字架の丘」に立ち寄りました。
シャウレイという土地にある小高い丘には元々土着信仰で十字架が立てられましたが、十字架の数がどんどん増えて民族・宗教の象徴として扱われるようになりました。
現在の十字架の本数はとても多く、恐らく何十万本の十字架が立てられており毎日のように増え続けています。売店が数店あって、どの売店でも様々なサイズの十字架を売っています。訪れる人たちはこれらの売店で十字架を買って願い事を書いて丘に立てる。日本でいうところの絵馬のような存在です。
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■ラトビア |
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ラトビアの首都リーガは古い港町でハンザ同盟に属して発展してきました。それは中性ヨーロッパでバルト海や北海沿岸の貿易都市同盟のことです。
ラトビア旧市街地は石畳で出来ており、この街にも大聖堂があり1211年にできたというので相当に古いものです。
古いものというと3兄弟と呼ばれている3軒の家が並んで建っています。兄弟が建てた家でもないですが3軒が並んで建っている様子でそのように呼ばれています。右側の長兄と呼ばれる一番古い家は15世紀、真ん中の次兄には1646年と書かれています。 |
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リーガ大聖堂の前に広がるドーマ広場のカフェで一休み。
この広場のこの席からはリーガ大聖堂が目の前に見えて真っ青な空に大聖堂と太陽があるだけという絶好のコンディションに陣取ることができ、心地よい日差しの中のまったり感の中、昼間から美味しい生ビールを飲むというこの上ない幸せに酔いしれています。
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聖ペテロ教会の塔に登り、72mから街を360度見渡すことができます。
川と運河に挟まれた旧市街地の中を石畳の道が縦横無尽に曲がりながら延びていて、その間に中世ヨーロッパの教会や家があり、ところどころには紅葉した木々が彩を添える。まるであつらえた箱庭の街を見ているようです。
その箱庭の色はというと川が最も濃く青い、空は薄い青で、建物の屋根は濃いオレンジ色、紅葉の木々は主に黄色と緑、石畳の道は灰色という配色になっています。
そんな街や空を眺めていると面白いことに気が付きます。それは360度見渡す限り山がないことです。従って360度地平線が広がっているという見たことのない景色に感激です。
バルト3国をバスで移動しているとほとんど平坦な土地で、多少の緩やかな凹凸はあるものの山と認められるものは一切ない。本当に平らな国土です。 |
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ちょっと風変わりなカマボコ型の屋根をした建物が4つ並んで建っている中央市場にやって来ました。とても巨大な市場でユニークな形、驚くほど内部は天井が高い。ドイツのツェッペリン型飛行船の格納庫を移築して作ったというから納得です。
それにしてもその時代から既に100年近く経っているのにこの綺麗さは信じられません。内部は掃除がいき届いておりとても綺麗です。一般的に市場というと床は汚いのが当たり前で、ここはゴミ一つなく、床は水もシミもない。100年近く実に綺麗に使っています。
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運河と呼ばれるやや広い小川が旧市街地と新市街地を隔てています。その運河のほとりが広範囲な公園のように整備されているので運河にそって散歩ができます。そしてそれが実に気持ちが良く、ちょうど紅葉で黄色や赤に色づいた葉と、それが落ち葉になって道を埋めているから素晴らしい。
日がかなり斜めから差し込む木漏れ日もたまらなく良くとても絵になり、それはまた贅沢な時間かも知れません。 |
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