熊野古道を歩く(その2)
    2008年10月30日
齋藤 寛康
 

 熊野古道を歩く(その1)より続く

 

 伏拝王子跡の休憩所の隣りには、NHKの朝ドラ「ほんまもん」で、ヒロイン「山中 木葉」の生家として、ロケに使用された家(一般の民家)がある。

 その前を通って暫くは緩やかな地道を歩いていく。

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「ほんまもん」のロケに使われた民家

 

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石畳がつづく熊野古道

 伏拝王子跡から三軒茶屋跡へは、暫く緩やかな地道を歩いていく。
 

 およそ20分で、町道を横切る九鬼ヶ口吊橋の着き、この橋を渡ったところに、三軒茶屋跡の休憩所が建っている。

 ここは、高野山へ通じる小辺路への分岐点で、その付近の広場が三軒茶屋跡と呼ばれている。

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三軒茶屋跡の休憩所

 

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九鬼ヶ口関所跡

 

三軒茶屋跡には、九鬼ヶ口関所があったとされ、今はその門の部分が残っている。

 (本当の九鬼ヶ口関所は、この場所ではなかったそうである。)

 

   杉木立の中の古道は暫くくだりが続く。地道から舗装された道に出ると間もなく、祓戸王子だ。

 熊野本宮大社まであと50mほどのところに、小さな樹叢に守られるように立つ王子で、由緒ある神社へ参拝前、旅のけがれを祓い清める潔斎所であったと云われている。

 

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祓戸王子跡

 

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熊野本宮大社

 裏門の鳥居をくぐり、拝殿の脇を通って熊野本宮大社に到着。

  熊野本宮大社は熊野三山(本宮、新宮、那智)の首座で、熊野信仰の総本宮として多くの人々の信仰を集めており、全国各地の熊野社の総本宮である。

 家都美御子大神(けつみみこのおおかみ)を主祭神としている。

  本殿(第一殿〜第4殿)、八咫烏の碑が立っている拝殿(八咫烏は熊野権現の使いといわれる三本足の烏で、日本サッカー協会のシンボルマークとしてお馴染み)を参拝する。

   

168号線を熊野川に沿って下り新宮の熊野速玉大社へ向う。


 熊野速玉大社は、熊野三山の一つで、熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)と熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)を主祭神としている。

 もともとは、速玉大社から南へ1〜2km行った千穂ヶ峰の東南端の神倉山に祀られていたのが、のちに現在地に遷され、そのため神倉山の古宮に対し、ここを新宮と呼ぶようになったということである。


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熊野速玉大社

   

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大門坂 入口

 熊野速玉大社を参拝した後は再びバスで那智山へ。大門坂入口でバスを降り、二丁まで歩く。

  大門坂と刻まれた石碑の横を通っていくと間もなく、右手に新宮藩の関所跡(十一文関)の立札が立っている。

 さらに歩いていき、朱色の欄干の「振ヶ瀬橋」を渡ったところに大門茶屋がある。大門坂、那智の滝、那智山青岸渡寺、熊野那智大社など名所、旧跡の写真が展示されている。また、平安衣裳の貸し出しも行っている。

 

 大門茶屋の先に、坂道の両側にまるで門柱のようにそびえている夫婦杉がある。樹齢800年といわれ、幹の周囲は8mもある。

 その巨木の間を通って、いよいよ大門坂のスタートだ。苔むした石段と樹齢800年を越す老杉等に囲まれ、往古の熊野詣を偲ぶ古道を歩いていくと、右手に、多富氣王子跡がある。

  多富氣王子は、熊野九十九王子の最終の王子社で、ここから那智の大滝が拝めることから(両手を向けてあわせる王子)「手向け王子」から転じて多富気王子と言われている。その先には、樹齢800年の楠大樹もある。

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夫婦杉                 大門坂の石畳

 

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那智大滝

 那智大滝は、熊野那智大社の別宮・飛瀧神社のご神体として祭られている名瀑。

 高さ133m、瀧幅13mという大滝で、毎秒1tの水を落とすといわれている。

 那智四十八滝の一の滝で、日本三名瀑の一つである。

 

 那智大滝を拝んだ後は、熊野那智大社へ向う。駐車場の前より、473段の石段を登ったところに大社はある。

  お店の並ぶ石段の参道を登っていくと、参道が二手に別れ、左の鳥居をくぐると熊野那智大社へ向う。(右に行くと青岸渡寺へ行く)

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熊野那智大社

 

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熊野那智大社 本殿

 熊野那智大社は、熊野三山の社殿中、古代の姿がよく保たれている「権現造」の社殿で、主神は夫須美神(ふすみのかみ)である。
   

 那智大社の隣りには、青岸渡寺が建っている。

 古くは熊野那智大社とともに神仏習合の一大霊場だった熊野最古の建造物で、開創は4世紀頃と伝わるが、現在の本堂は豊臣秀吉が再建したものとされている。

  大社を参拝し、その脇を通って青岸渡寺をお参りし、これで、無事熊野三山詣でができた。

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青岸渡寺

 

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那智大滝と三重塔

 青岸渡寺の横手にでると、朱色の三重塔と那智大滝という、ポスターなどでお馴染みの光景が広がっている。
 

 串本を経て、南紀白浜空港にてツーは解散し、帰路に着く。

 今回の旅は、初日午後出発ということで、スケジュールもチョッとタイトであり、また、二日目は生憎の雨ではあったが、世界遺産の古道を森林浴をしながら歩き、また、熊野三山詣でができ、熊野古道ウォーキングを楽しむことができました。                  

    おわり
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