会員便り

バルト3国便り(下)

2018年11月
植木 圭二

  ■エストニア
   タルトという人口10万人の街に立ち寄ります。ここはエストニア第二の都市で大学の街。学生が6000人もここで学んでいるから大学関係者だけでかなりの人口です。若者が多く家族連れや子ども多い。大学があるので芸術の街という側面もあり、街中の至るところに面白いオブジェを見ることができます。
街の広場の入口には絵画の額のような黄色いオブジェがあります。
 
 

 「お父さんと子供」というオブジェを見かけました。こんなものが街の真ん中の公園の脇のストリートに突如として現れることが芸術というか遊び心とでもいうのか実に面白いです。

 
    大学の建物では面白いものを見つけました。壁に窓の絵を描いた建物で窓から手を振る人々がそこに居るようですが、本物の窓は一つしかありません。
 
   この街だけではなくバルト3国全てに共通することは、人々は生活を楽しんでいることが実感できます。心にはとてもゆとりがあるなと感じます。経済力や効率というものをひたすら追ってきた私たち日本人にとっては、何とも言い難い気持ちになります。

 エストニアの首都タリンに着きました。
エストニアはバルト3国の中でも面積も人口も一番少ない国です。エストニア135万人に対してリトアニアは約2倍の280万人になります。しかし面積はさほど大差はなく、日本に例えればどの国も北海道を少し小さくした程度になります。
 エストニアは最も北にあるので寒さも厳しく、資源も乏しい。そのためにこの国ではITで国を創るという方針が明確で、例えばスカイプというインターネットテレビ電話の発明者はタリンの出身です。
この国もドイツとロシアに支配され脅かされた歴史を持ち、さらにスウェーデンなどにも支配されていました。現在も北欧諸国との結びつきが強く、街で見かける車のナンバープレートはフィンランドも多く見かけます。それもそのはず対岸のフィンランドへは2時間で渡航できます。

 言葉も同じバルト3国でもエストニアは少し違い、リトアニア語とラトビア語ではおおよそ通じるといいますが、エストニア語は言語体系が北欧諸国にちかいので通じないといいます。ここは北欧に区分した方が良いかもしれません。

 タリンを「おとぎの国」と呼ぶ人もいます。そのくらい街は中世ヨーロッパを残している。「おとぎの国」とは夢と憧れと思い出の街とでもいうのか、何か温かい感じがします。
この街は城壁が多く残っていて城壁に付随した見張り塔も多くあります。その城壁の中を旧市街と呼び、教会、行政機構、商店、民家、そして石畳の道があってそれらはどれも古いが現在も使われている現役の施設で、単なる観光資源になっていないのが特徴です。

 
 

 城壁にちょっと登っただけで街の眺望を楽しむことができます。そして改めて感じることは、この街はやはり「おとぎの国」なのです。それに加えて街も、人々も、鳥も、今に生きているということでしょう。

 
   ここにも60mの高さまで登れる聖オレフ教会の塔があります。ここから見るタリンの街も見ごたえ充分で素晴らしい。何しろ「おとぎの国」を上から見ることができるのですから。
 
 
  ■ポーランド
   ポーランドの首都ワルシャワには2時間の滞在です。
ワルシャワといえば、西側の軍事同盟NATOに対抗して組織されたワルシャワ条約機構という旧東側の軍事同盟の本拠地だったことくらいしか私は知りませんでしたが、現地ガイドの説明からショパンとキューリー夫人が市民の誇りになっています。そういえば私たちが降りた空港の正式名称は「ショパン・ワルシャワ空港」ということを思い出しました。

  そのポーランド人ガイドの話の節々にはポーランド人の気持ちのようなものが伝わってきます。遠まわしには言っていますが、ドイツもロシアも決して好かれてはいないようで、バルト3国だけでなくこのポーランドもこの2つの強国に支配された歴史があり、多分この国はバルト3国よりも不幸な過去を背負っているのかもしれません。

 

 

 2時間のワルシャワ観光の後に空港に戻ってワルシャワ発ポーランド航空の日本直行便にチェックインをして手荷物検査場を通過したところでとんでもないこと発覚しました。
突如としてインフォメーション画面の私たちが乗ろうとした便にフライトキヤンセルの文字が表示され、一同唖然としつつ添乗員は事の重大さを認識してか少し引きつっているかと感じられます。

 フライトキャンセルの原因は、何と飛行機の乗務員のストライキだというからとんでもないですが、自然災害やテロでないのでやや安心で、これで宿泊や食事という滞在費用は航空会社持ちがきまったことを意味します。
帰国便の手配は添乗員に任せ、日本の家族への連絡がまず優先させます。そして帰宅便が2日後に決まり、次はここでどうやって過ごすか。2日後の帰国便までフリータイムになります。
2時間しか観光していなかったワルシャワを丸一日観光できることになるので多くのツアー客にとっても喜んでいる。

 駅の券売機で切符を買って地下鉄に乗って街の中心にでます。駅も地下鉄もとても綺麗で、ニューヨークの地下鉄のように落書きも無ければゴミも落ちていません。
コペルニクスの像があり、その近くに聖十字架教会があります。この教会の入口から2つ目の柱の中には何とショパンの心臓が納められているといいます。小さな壺に入れられ、たぶんコニャック漬けの状態というから驚きです。

 

   レストランに入りポーランドの名物料理の「ジュレック・スープ」、それからポーランド風の餃子「ピエロギ」は外せないそうです。昨日の現地ガイドが強く勧めていたのを思い出しての注文です。さらにホットワインにビールも注文する。バルト3国に比べて食生活が豊になっているのを感じます。

  ホットワインは面白い器で登場する。保温のためにローソクの火で下から温める仕掛けになっている。今日は雨で、寒いので大変美味しい。

 
 

 アクシデントとはいえ、ポーランド航空が用意したホテルは5つ星でとにかく豪華。現代アート的で今までとは明らかに違う高価な雰囲気のホテルでとても安いパッケージ旅行では泊まれるホテルでないので、まさにポーランド航空さまさまといったところです。

  本日の夕食が本当に最後の晩餐になり、添乗員からはお詫びのしるしに夕食で一杯おごるように旅行会社から言われているとのことでアルコールも付きでる。旅行会社も我々同様にどちらかと言えば被害者の側に入るはずだが、その配慮は誠に嬉しい。

 かくして7泊8日の旅行は充実まま終了し、プラスアルファの2日間により緊張感あふれながらも楽しい9泊10日で終了です。

 この旅の詳細は旅のチカラ研究所のHPに公開済みです。

   
 
 

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